どうぞお帰りになって

どうぞお帰りになって

 

 

病院の廊下でニナは待っている。容態を知りたい。

娘のアンヌはニナと母親が、向かい同士に住む、

仲のいい友人だと思っている。

「母は脳卒中で、集中治療室にいます。

詳しいことはまだわかりません」と親切に教えた。

ニナをいたわり

「お疲れでしょう、もうお帰りになって。

あなたがいてくれてよかった」

娘の気配りが、ニナには心苦しい。

 

 

〜「ふたつの部屋、ふたりの暮らし」〜

 

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