恋人よ、覚えているかい
授業中、会計係に呼び出されたフェロンとルシアン。
ルシアンと机を並べていたジョルジュは、
ルシアンが置いていった本に手紙が挟んであるのを見た。
そっと開く。盗み読みである。
「愛する者へ」で始まるラブレターだった。
「友よ、君はあの美しい夕べを覚えているかい?
僕らはお揃いの白い服を着てテニスをしたね。
互いの欲望を語り合った。
口づけの熱い思い出は今も僕らの心に輝いている。
薄暗い小道を歩いたね。恋人よ、覚えているかい?」
綺麗なラブレター。恋は人を詩人にするのね。
でもそれで済まないのだった。
〜「寄宿舎〜悲しみの天使〜」〜