もう行っちゃうの?

もう行っちゃうの?

 

帰京した翌朝、真奈はすみれの訪れを感じる。

眠っている自分のベッドにすみれが腰掛け

「よく眠っていたね」

真奈が答える。

「夢を見ていた。よく覚えていない」

「コーヒーを淹れといた。またね」

「もう行っちゃうの?」

幻のすみれは真奈の頬に顔を寄せる。

すみれが会いにきている。

ここにいる。込み上がる愛惜の思い。

見つめる真奈の目から涙が滴り落ちた。

〜「やがて海へと届く」〜

 

 

bn_charm