結局戻ってこなかったけど

結局戻ってこなかったけど

 

すみれの実家に行く。仏壇にすみれの写真がある。

母親「中学の時、あの子、私の顔をじっと見て、

お母さんはいつも私かお父さんにくっつこうとする、なんて。

結局戻ってこなかったけど、そうなって

元の親子に戻れたのかな、と思うのよね」

やっぱりここでもすみれは死んだことになっている。

猫がいた。

「三四郎くんですか。すみれがよく話していました」

真奈にとっては、この家で目の前の三四郎だけが

すみれの体温を感じさせた。

 

〜「やがて海へと届く」〜

 

 

bn_charm