シスタースマイル
レコード化が決まった。
ジャニーヌは「シスタースマイル」としてデビューする。
しかし契約は「修道女として清貧を誓ったので、
得たお金は修道院に納める」ことになった。
「歌うのは修道院のためですよ」とシスターは釘を刺す。
またしても思わざるを得ない。
ジャニーヌは金の成る木で、
あがりは全部、レコード会社と修道院が吸い取る。
闇世界のぼったくりも顔負けではないか。
幸福感あふれる清澄なその歌の世界と裏腹に
「シスタースマイル」には最初から、暗部が用意されていた。
ジャニーヌだけが気づいていない。
好きな音楽活動を、誰にもとやかく言わせずできる自由に、
目の前には明るさだけがあった。
〜「シスタースマイル」〜