ニーナについて知ってほしいの
キャスは淡々と語りかける。
「ニーナは異常に頭がよかった。説明が難しいくらい。
彼女は4歳のことから自分を確立していた。
最初から彼女そのもの。同じ歩き方、そして愉快。
大人びて、辛辣で、私は彼女を崇めていた」
何を語っても無駄だ、とキャスは知っていたに違いない。
でも話さずにおれない。
追憶とか感傷ではなく、唯一無二の存在が
ぼろ切れのように社会から消される現実が
自分に起こったのだと納得させるために。
〜「プロミッシング・ヤング・ウーマン」〜