あの女よ。25号室。
「私が大学を辞めた理由を話すわ。あの事件を覚えている?」
マディソンの顔が一挙に曇り
「ぼんやりと、だけで」歯切れ悪く答える。
「考えたことない? もし今、友だちがあなたの家に来て
ひどいことが起きたと言ったら、なんていう?
大袈裟に騒ぐ女だと思う? 呆れた顔で無視?」
「信じない人は大勢いたわ。誰とでも寝る女だったもの」
「残念ね。考えが変わったかと思ったけど、あなたは昔のまま」
キャスは勘定に立ち、示し合わせた男に
「あの女よ。25号室。封筒にお金が」
「いいのか」男は無造作に金とキーをつかむ。
〜「プロミッシング・ヤング・ウーマン」〜