ひどいわ、手に入れたら責める

 

本心を聞かせてください

 

エロイーズは糾弾する。

「自覚しているはずです。

私に寄り添うのをやめ、結婚することを非難する」

「そうかも」マリアンヌは弱々しい。当たっているから。

「本心を聞かせてください。言えるはずです」

「あなたこそ」マリアンヌは態勢を立てそうとするが

「あなたは私を従順と思い、しかも自分の共犯だと思っている。

楽しんでいると」。

エロイーズの舌鋒はやまないが、涙が湧きあがっている。

「期待しないためです」かろうじてマリアンヌが言えたのはそれだけ。

自分たちの未来に何もないことがわかっている、

マリアンヌも苦しいのです。

 

〜「燃ゆる女の肖像」〜

 

 

bn_charm