マルコを我々の保護下に
ポールとルディは裁判に訴えた。
「マルコを我々の保護下にお戻しください」
「却下します。本来なら法廷を偽った罪で偽証罪に問うところです」
偽証罪とはイトコとしてマルコを引き取ったことです。
ルディは激昂する。
「これが正義なのか。ひとりの人生の話だぞ」
裁判官は冷たく「法廷侮辱罪で刑務所に逆戻りですよ。
どれほど熱弁を振るおうと決定はくつがえりません。
芝居がかった見世物はよそでご披露ください」
どっちが侮辱しているかわからない。
ふたりが相手にしているのは裁判官でも法律でもない。
長い、長いあいだ社会が積み上げてきた差別の黒歴史です。
〜「チョコレートドーナツ」〜