俺は残酷で怠惰な男になる
ここはパリ。ヴェルレーヌはランボーの妹イザベルに
アフリカから届いたランボーの手紙を読んでいる。
「俺は鉄の脚をつけて帰る。肌を黒くし、目をギラギラさせて。
金持ちになって。残酷で怠惰な男になる。俺は救われる」
観念(詩)を捨て、現実(生活)に生きる男に、
と聞こえはしますが、手紙にあるのはランボー以外の何者でもない。
「残酷で怠惰な人間になる」ことが「救われる」ことであるとは。
彼は針のように鋭敏で、自分も人をも
傷つけてきた詩人の感性に復讐しているのでしょうか。
〜「太陽と月に背いて」〜