では、卓の上に手を

 

では、卓の上に手を

 

突き離されればされるだけ、ヴェルレーヌの愛慕はつのる。

「言ってくれ、僕は君が好きだ」

「愛している?」

「もちろん」

「では、手を卓の上に。手のひらを上に向けて」

ランボーはライフでやさしくヴェルレールの手のひらの筋をなぞる。

グサッ。ナイフを手のひらに突き立てる。

おまけに言うことがいい。

「耐え難いのは“なんでも耐えられる”ということだ」

ゴーマン詩人にマゾ詩人。

近づいたら厄災以外の何物でもない男ふたり、よくやるよ。

 

 

〜「太陽と月に背いて」〜

 

 

bn_charm