デスクのホチキスみたいに?
ビリー・ジーンの挑戦をひっそりと見ている男がいました。
ボビー・リッグスです。テニスの殿堂入りしたかつてのチャンピオン。
妻の父が経営する会社の重役ですが、社長の娘婿という立場だけで、
満足に腕をふるう仕事はない。
妻プリシラは、夫に劣等感を持たせまいと
「会社はあなたを頼りにしているわ」
「デスクのホチキスみたいに?」とボビーは返す。
ウツウツした日々を忘れるようにギャンブルにはまり込んでいます。
彼は「力一杯生きる」証がほしかった。ビリー・ジーンがまぶしい。
すでにこのとき世紀の一戦は動き出していたのです。