聖母マリアさまかと思った

 

聖母マリアさまかと思った

 

シェリーが帰郷した。

ポツネンと入ってきた妹を見て、

姉は「聖母マリアさまかと思った。取り巻きもカメラマンもなしで?」

シェリーは寂しかった。

唯一の味方だったバンドも捨てた、もしくは捨てられた。

風の中をひらひら舞う木の葉のようだ。

「全部言葉にしないとダメ? テレパシー、まだ通じる?」

そういう妹を姉は抱いてやる。

「パパは?」

「あんたの記事、全部切り抜いているよ」

もの言えぬ父親の枕元にシェリーはドル札を置く。

「パパ、お金、できたよ」

求め続けた富とサクセス、その代償のなんと大きかったことか。

 

 

(〜「ランナウェイズ」〜 )

 

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