サイン、させろよ
煮え切らない母親をレイは冷たく見る。
「サイン、させろよ。単純化しろよ。ママの問題のためにブチ壊すなよ。
この体で(女の体で)転校するなんてイヤだ」
彼は一刻も早く手術を受けて男になりたい。
「もう例外なんてウンザリだ!」
奇妙な目で見られてきた「例外」の視線がレイをナーバスにしてきた。
これは本人でないとわからないでしょう。
レイの叫びに、味わってきた辛さと悲しみがにじむ。
でも、辛かったのは自分だけじゃない、
母親も同じように辛く葛藤してきたのだという事実を、
まだレイは思いやることができません。