サイン、させろよ

 

サイン、させろよ

 

煮え切らない母親をレイは冷たく見る。

「サイン、させろよ。単純化しろよ。ママの問題のためにブチ壊すなよ。

この体で(女の体で)転校するなんてイヤだ」

彼は一刻も早く手術を受けて男になりたい。

「もう例外なんてウンザリだ!」

奇妙な目で見られてきた「例外」の視線がレイをナーバスにしてきた。

これは本人でないとわからないでしょう。

レイの叫びに、味わってきた辛さと悲しみがにじむ。

でも、辛かったのは自分だけじゃない、

母親も同じように辛く葛藤してきたのだという事実を、

まだレイは思いやることができません。

 

 

(「アバウト・レイ16歳の決断」 )

 

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