眠りなさい。安らかに

 

眠りなさい。安らかに

 

全力で走るフィアマに喘息の発作が出た。

ゼイゼイと息切れし、ついに倒れる。様子が変だ。

そこへエヴァ先生が駆けつけた。

「私に任せて。あなたたちは誰か呼んできて」

再び二人きりになった。

「私に任せて。何も心配しなくていい。私がついている」

フィアマはかすむ意識の下で「お願い、やめて」

先生の真意がわかった。呼吸器がすぐ手元に落ちている。

それをとってほしい。でも先生はとってくれない。

「私の可愛い子。あなたは美しい。

この世にふさわしくないほどに。眠りなさい。安らかに」

死のささやきです。フィアマの苦しそうな呼吸が熄みました。

 

 

(「汚れなき情事」 )

 

bn_charm