愛している
回想シーン。休暇が終わり、生徒たちが親元から続々帰ってくる。
チューリングはクリストファーが校門を入ってくるのを待っている。
手紙を渡したくて。
「愛している」手紙にそう書いた。
でもクリストファーは姿を現さなかった。校長室に呼ばれる。
「辛い事実を告げねばならん。クリストファーは亡くなった。
結核だった。彼は知りながら黙って耐えた。立派な少年だ」
チューリングはつぶやく。「友達ではありません」「そうか」
ショックを危惧する校長に「大丈夫です。彼をよく知りません」
友達ではない、もっと大事な存在だった、彼をよく知らないのは、
どうでもいい現実の部分であって、魂の深い部分で知っていた。
チューリングの後の研究は、クリストファーの魂への捧げ物でした。
(「イミテーション・ゲーム/ エニグマと天才数学者の秘密」 )