ご機嫌よう、伯爵夫人

ご機嫌よう、伯爵夫人

 

精神病院から迎えが来ました。打ち合わせ通りです。

医師らが「では」と偽伯爵と秀子に挨拶する。

珠子は「お嬢さんごっこ」でお嬢さんの衣装を着ていますし、

秀子は侍女の装束です。医師らは珠子を拘束し、車に乗せようとした。

珠子は仰天して、自分はお嬢様じゃない、お嬢様はあっちだと

秀子を示しますが誰も信じない。

「よし、ご苦労だった」と偽伯爵はうそぶき、

「ご機嫌よう、伯爵夫人」と、囚われの身となった珠子に投げかける。

「お嬢様!」手を差し伸べ泣き叫ぶ珠子に、秀子はクスッと笑う。

残忍な笑いです。ここが最大のトリック。

 

(「お嬢さん」 )

 

bn_charm