そこから入っちゃダメ!
時刻になったので珠子が書庫に行くと、広いの、なんのって。
はるか向こうにポツンと上月と秀子が本を前に座っているのが見える。
周囲は書棚で、古い装丁の本がぎっしり、整然と収まっている。
これが実は春画の稀覯本なのだ。上月はエロ本の収集家で、
毎月定期的に「朗読会」を開き、限られた男たちだけが参加する。
朗読するのが秀子だ。「朗読会」は秘密クラブだ。
参加するのは頭の禿げたH好きの老人ばかり。
その中の新顔に伯爵と名乗る藤原がいたわけ。
上月という男がそもそも変態です。若い女性に春本を身振り、手振り、
思い入れたっぷりに朗読することを強要し、
客たちは生唾を飲んで聞き入る。おぞましい狂気がひたひたと迫る。
パク・チャヌク監督の世界へようこそ。ここからが本番です。
「入っちゃダメ」と言われても入ってしまおう。