たまげた!
初めて秀子お嬢様を見た珠子は「たまげた!」
きれいだってこと、先に言ってよ。驚いたじゃない。
無理もない、ドブ板踏んで生きてきた環境で、
「お嬢様」なんて見たことなかったものね。
お嬢様は「朗読で疲れているから、あなたの紹介状、読んで」と頼む。
珠子は字が読めない。紹介状が逆さまなのもわからず四苦八苦。
「読めません、お嬢様」と白状する。秀子はバカにもせず嘲笑もせず
「字は習えばいい」とだけ言う。
足の引っ張り合いで生きてきた珠子は、お嬢様の寛大さにクラクラする。