■図を読めない者による最適化
ごみを捨てるときに「ぽい」と声に出して言っちゃうくせがある衛澤です御機嫌よう。
私は方向音痴です。
「東西南北」や「この先○メートル」などと示されても、その場で見当をつけることができません。そもそも私は街歩きに適していないのかもしれません。
「3つめの信号左」などと道標に書いてあっても、主な移動手段としている原付単車で走っているときは「もうちょっと早よ言わんかい!」とか「どの信号を1つめとしての3つめやねん!」と思うことしばしばです。
そんなだから、はじめての土地を訪れるときは予め地図を用意して、地図の上で一度、目的地に辿りついておくことにしています。
自宅にはインターネットに接続されたパソコンがありますので、Google Map のお世話になります。Google Mapは私にとって、R・田中一郎にとっての「埼玉県の地図」のようなものです。これさえあれば全国どこへでも行けます。
私はいつも原付単車で移動するのですが、片道100kmくらいまでなら日帰りの範囲です。
その距離をできるだけ「曲がらなくて済む」ルートを選び(「曲がる」「折れる」は迷子のはじまり)、出発前にGoogle Mapの上を移動して、目的地に辿りついておくのです。
擬似的にでも一度経験しておけば、現場で迷う可能性はぐんと減ります。
道を覚える際は「信号」と「方角」と「距離」で覚えなさいと、地図を読める人からは言われていますが、私はそのうちの2つがその場では分かりません。従って、「角のコンビニ」とか「有名牛丼チェーン店の前の歩道橋」などが目印になります。
この目印は実は大変危険でして、「角のコンビニ」は実際に行ってみたら「角のガソリンスタンド」になっていたり、「有名牛丼チェーン店の前の歩道橋」はハンバーガーショップに変身している上に歩道橋が撤去されている可能性だってあり得るのです。
もうひとつ付け加えておきますと、地図を読める人が言うには、地図を見ながら道を進む際は、地図を回転させてはいけないのだそうです。
私などは「ドラゴンクエスト」などのコンピュータRPGで育ったものですから、「自分の進行方向」=「(地図の)上側」でないと自分がどこにいてどちらに進もうとしているのかが分からなくなってしまいます。
しかし、この地図の見方こそが「迷子のもと」なのだとのことです。
さて、予め調べたその経路を、実際に走り終えるまで記憶しておけるかと言えば、私にはそれほど優秀な記憶媒体が搭載されていませんので、出掛けるときは目的地までの地図を持参します。しかし、私はそもそも「図」というもの巧く読むことができません。地図も例外ではありません。
そこで、普通の道路地図ではなく、「文字地図」をつくって持参します。
文字地図とは、主要な目印と進行方向を文字で書いておく、メモのようなものです。この記事に添えております画像を御覧ください。
私はこのようなものを目的地までの往復分拵えておいて、首から提げて、これで進路を確認しながら単車で走ります。
他人さまにこの文字地図を見せると大抵「分かりづらい」と言われてしまうのですが、私は普通の道路地図を見るよりもこちらの方が情報を読み取りやすいのです。
図の情報より音声情報より、文字情報が、私にとって最も理解しやすい・取り入れやすい情報なのです。
ついでに言うと、何かを教わるときも、口頭で教えて貰うよりも文面(整理された文章に限る)で教えて貰った方が理解しやすいし、記憶しておきやすいです。
ほかの形式の情報をそのまま使用するのではなく、自分にとって扱いやすい形式に変換して使用する。最適化です。それによって「便利な情報」が「使える情報」に変わります。
ほかのみなさんにとっては分かりやすいものを、わざわざ使いづらくしているように思われるようですが、図を文字にするということは、使用者である私にとっては「最適」な形式なのです。
だいたいの人は目的に合った形式の情報や手段をいくつか上手に使い分けるものですが、世の中には私のような、能力が「文字情報に特化した人」というのも存在する訳です。ああ、世界は多様ですね。
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VOL.4 一般書で知るセクシュアルマイノリティ−古典編(1)
VOL.5 一般書で知るセクシュアルマイノリティ−古典編(2)
VOL.6 一般書で知るセクシュアルマイノリティ−古典編(3)
Vol.28 悪いことしなくても
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■衛澤 創(えざわ・そう)
和歌山市出身。文筆家。随筆・小説を主に書くが特に分野にはこだわらず頼まれたものを書く。
性同一性障碍者。足掛け15年かかって性別適合手術をすべて終え、その一方で性的少数者の自助グループに関わって相談業務などを行う。
性同一性障碍であると同時にゲイでもあり、「三条裕」名義でゲイ小説を書くこともある。
個人サイトに性別適合手術の経験談を掲載しているので、興味がある方はどうぞ(メニューの「記録」から)。
個人サイト「オフィス・エス」http://officees.webcrow.jp/