よくお聞き、変態野郎
相手が電話に出たとたん、ヘディが口火を切る。
「よくお聞き、変態野郎。クビは困るだろ。泣き寝入りはしないよ。
私の悪評を立てたら家族ごと地獄に落としてやる。覚えておきな」ガシャン!
アニー呆然。目には目を。
ヘディに変態と言われたら世話はないかもしれませんが、
アニーはなぜかヘディを憎めません。
ヘディを危険視して「別れろ」とか「追いだせ」というのは
みなボーイフレンドで、アニーはそのたびヘディをかばっています。
育ちがよくて人を悪く言えない、それもあるでしょうが、
必死で自分を求めるヘディにはどこか切ないものがある。
アニーだけはそれに気づいていました。