なぜそんな話をする?!
ルイは「今朝早く空港について、すぐ家に行かず、空港で日の出を見て、
カフェで待つことにした」と兄に言います。
兄は「なぜそんな話をする? 何か言って欲しいのか」と突っかかる。
「そうじゃないんだ。ただ知って欲しかった」
「空港やカフェの話なんか聞かせるな。お前が早く来ようが、遅く来ようが
関係ない」
とりつく島もないけど、兄貴の突っ撥ね方は、弟にかまいたいけれど、
素直に構えない、穏やかな言葉をかけたら、自分が保ってきた塁が崩れると
思っている、そんな過剰な防御壁を感じさせます。甲殻類みたいな人です。
関心のある相手にわざと無関心を装う。そのくせ知らん顔されると
がっくりするか怒り出すかどっちか。兄貴は後者です。
彼は男同士の兄弟として、自分が担いできた重荷を認めてほしいのです。
「兄貴、すまんかった、しんどい目をさせて」と弟も言えばいいのですが、
作家ってフツーの話し言葉は知らんのでしょうか。