失礼、ゲルハルトとしたことが
ロンドンの目抜き通り、フリトン画廊にふらりと現れた紳士がいた。
画廊の主はカーナビー・フリトン。校長の弟だ。
紳士は壁の絵に視線を投げ、出された白ワインを手に。
カーナビーと接触し、ワインを彼のズボンこぼす。
紳士は大きな身振りで「失礼、わたし、ゲルハルトとしたことが」
ドイツ語訛りの強い英語だ。
カーナビーは耳を疑う。「なんとおっしゃった? まさかあの有名な」
「シーッ」ゲルハルト伯爵になりすましたフラッシュは
「ブラック・マーケットで出回っている極秘情報がある」と耳打ちする。
耳をそばだてるカーナビーに「真珠の耳飾りの少女」が近く売りにでる…