大丈夫じゃないのよ、何もかも
テルマが朝食に降りてきた。昨夜の奮戦に話題が弾み、ルイーズは
ふと我にかえる。「テルマ、じゃ、彼は一人で部屋に?」
夢中で引き返したふたりは6000ドルを入れた引き出しが空っぽなのを見る。
へたへたとルイーズはしゃがみこむ。逃亡の命綱だったお金だ。
「あたしのせいね」そして意を決したようにテルマが言う。
「大丈夫よ、ルイーズ」
「大丈夫じゃないの、テルマ、何もかも大丈夫じゃないの。
お金がないのよ。ガソリン代は?
体でも売ろうっての? テルマ、一体どうするのよ?」
ここからテルマは古い服を脱ぎ捨てるように人が変わります。
映画は着々クライマックスへ、監督はアクセルを踏み込むのです。