忘れよう

忘れよう

 

モーリスが内面の葛藤を書いている。

「体が発育した頃から淫らな想像をした。僕は呪われている」

大学では勉強と、厳しいスポーツを課したが、妄想は去らない。

医師に相談したが「汚らわしい」と言われ、「若い娘と付き合えば治る」と。

モーリスには自分の性向が一時的な現象ではなく、自分自身のもっと

深いところから発しているように思われる。これは治せるものなのか。

モーリスの不安と焦燥はつのります。

そこへクライヴが入ってきた。浮かない顔のモーリス。

話が大学時代に触れると「忘れよう」とクライヴ。

クライヴにとっては二度と話題にしたくない問題みたい。

厳かに手の甲を差し出し、モーリスがキスする。

こういう誓いの儀式があるのね。それにしても「忘れよう」は

調子よすぎない? 同性愛は監獄入りの時代だったから

名家の息子クライヴとしては仕方ない? 答えを出せる? 

 

(「モーリス」 )

 

bn_charm