私たちは愛人同士じゃない
「同じ罪を宣告された人はたくさんいても、彼らは自ら求めて選んだのよ。
私たちはそうじゃない。愛人同士じゃない」とマーサ。
「もちろんあなたを好きよ。友だちとして。悪いことじゃないし、
ごく自然でしょ。17のとき知り合ってからずっと」と続ける。
カレンは聞くのが辛くなる。
「なぜそんなことを」
「愛しているからよ」
「私もよ」
パトリシア・ハイスミスの「キャロル」によく似た状況があります。
テレーズが胸のうちをキャロルに打ち明ける。
「愛しています、キャロル」「私もよ。わからないの?」
カレンの「私もよ」にも強い意味があったのではないか?