出会った時に殺しておけばよかった
イギリスにはゲイ映画の伝統があります。
映画史上初めてホモセクシュアルという言葉が最初に使われたのが「VICTIM」(犠牲者)だと、
ボーゼ・ハドリーは「ラヴェンダースクリーン」で書いています。
以後「日曜日は別れの時」「マイ・ビューティフル・ランドレッド」「モーリス」
「アナザーカントリー」など、どちらかといえばBL系が多く、本作のように
「女性同士でハッピーエンド」は少なかったように思います。
オル・パーカー監督は「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」でもそうでしたが、
日常の淡々とした流れの中で愛のなりゆきを描いていく静かな名手。
本作も騒々しい恋愛仕様ではありませんが、見終わってしみじみと
気持ちよくなります。爽やかな映画です。
その割に物騒な台詞でスタートしますが、発言者はヒロインのパパ。
しかも娘を結婚式場に送っていくタクシーの中で
「お前の母親と出会った時に殺しておけばよかった。式に向かう途中で叫びたかった。
これは間違いだ…でもできなかった。その間にも車はどんどん進んでいく、人生の墓場へと」
パーカー監督、初めから覚めた揺さぶりをかけてきます。