「結婚してくれる?」「ええ」

「結婚してくれる?」「ええ」

 

庭の手入れをしているステイシーをローレルが部屋から見ている。

セリフのないこのシーン、とてもいいのです。

ローレルにはもう、思い残すことはない。

自分たちの公平な権利として守りきった小さな家で、ステイシーはああして、

庭の手入れをしながら穏やかに暮らしていける。終の住処として。

自分がいなくなるのは少し早かったが、やむをえないとしよう。

その夜に死は来た。苦しげに呼吸するローレルに、ステイシーが頼む。

「結婚してくれる?」もう返事はできない。息の音だけだ。

それでも「ええ」と聞こえた。

 

明日から新シリーズです。またお会いしましょう。

 

(「ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気」)

 

 

bn_charm