「私の思い違い?」「いいえ」

「私の思い違い?」「いいえ」

 

バーバラとシーバは急速に近づきます。

「人はみな、相容れない相手と何年も無駄に過ごす。理想の伴侶を

見つけたと信じたいから。真実の相手を見極めるのは勇気がいるの。

人は己の限界を知る。人生をひとりぼっちで終えるのが怖い」

「誰でもそうよ」とシーバ。二人は小高い丘の上のベンチに並んで

座っています。

「だけど最近、ひとりじゃないと感じ始めているの。私の思い違い?」

「いいえ」シーバはやさしく否定して、バーバラの肩にもたれる。

トラの口に肉をぶら下げたようなものね。

 

(「あるスキャンダルの覚え書き」)

 

 

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