彼は成熟と無縁だった

彼は成熟と無縁だった

 

原作者ヴィルヘルムが残した「マローヤの蛇」の

続編の一部を奥さんが見せてくれた、と演出のクラウスが

マリアに教えます。

「新たな解釈となる場面もある。彼は成熟とは無縁だった。

むしろ晩年の作品はより大胆で不思議な力に満ちていた、

マリア、彼のように見方を変えるべきだ。

凍てついた過去でなく、未来の光に身を投じて」

シグレッドは凍てついた過去、

ヘレナこそ女優マリアにとって未来の光なのだ、

時間にとらわれない、成熟と無縁の在り方、

絶えず変容し姿を変え、同じ場所にとどまることを

拒否したヘレナこそが「マローヤの蛇」の核だった。

あなたが演じるのはそれなのだとヴァルはいいたかったのだ。

今こそヴァルに会いたい…

 

(「アクトレス~女たちの舞台~」)

 

 

bn_charm