ヘレナの死を一晩考えてた

ヘレナの死を一晩考えてた

 

翌朝、マローヤの蛇を見られる絶好の天候になりそうだった。

マリアとヴァルは早朝から家を出る。

山道を歩きながら「ヘレナの死を一晩考えていた」とヴァル。

「死んだとは書いてないのよ。姿を消すだけ」

「あなたの解釈ね」とマリア。

「ハイキングに行き戻らない。答えはひとつ、

ヘレナは別の場所で再出発しているかもしれない」

この指摘は重要です。自殺だと捉えられていたヘレナの死が、

自殺ではない可能性があるとヴァルは気づくのです。

誰もしたことのない「マローヤの蛇」の新解釈でした。

ヴァルは言いたかった。

ヘレナはマリアが忌み嫌う敗残者ではない、

可能性を求め再出発した勇敢な女性かもしれないのだ、

だから原作者はエンドに含みをもたせた、続編を書くために。

 

(「アクトレス~女たちの舞台~」)

 

 

bn_charm