会いたかった、ウソじゃない。

会いたかった、ウソじゃない。

ウィンが旅費を使い果たしていたので、ファイは帰国の旅費を稼ぐのに、

ブエオノスアイレスのタンゴバーに勤め、ドアマンをやります。

ある夜、数人の男連れの客の中にウィンを見つける。

数日後ウィンが大けがをしてファイのアパートに転がり込んできた。

「俺にさわるな、ブン殴るぞ」と睨みつけるファイに

「会いたかった、ウソじゃない」。

はかなげな、気だるげな、傷ついた男のエロスのにじむウィンを、

ファイは罵りながら手当をする。体を拭く、ズボンを脱がせて脚を拭く。

ファイはそっとウィンのパスポートを隠します。

 

 

(「ブエノスアイレス」)

 

 

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