わたしは目を閉じました

わたしは目を閉じました

「手で口をふさがれ、顔を押さえられ、首を絞められ、わたしは目を閉じました」とサラ。
相手側弁護士はこう訊く。
「あなたは何と言いましたか、そのとき」
「やめて、と言い続けました」
「やめて? 警察を呼んで、とかいわずに? 部屋の中の男たちが騒ぎ立てたといいますが、目を閉じていて、よく何人もの男だとわかりましたね。ひとりだったかもしれないじゃないですか。あなたに見えていたのですか」
「いいえ」

弁護士は「被告人たちが煽ったのは、それがレイプには見えなかったから」だと、まるで冗談か勘違いだったような落とし込み方をします。人物否定に近い。
サラが酒を飲んでセクシーなダンスを踊った、短いスカートをはいていた、マリファナを吸っていた、トレーラーに麻薬の売人と同棲していた、故に侵されたのは自業自得だといいたいみたい。

次はキャサリンの最終弁論です。

 

(「告発の行方」)