アバズレだけど、愛しているわ

グザヴィエは、浮気性のイザベルがジューに愛想をつかされるかもしれないと
心配している。ジューは中国系アメリカ人。学生時代に住んでいた
チャイナタウンの部屋をグザヴィエに提供してくれた。
ジューはいい人だ、とグザヴィエは思う。だから訊かずにはおれない。
「あの部屋で、イザベルと暮らすんだね。何があっても」
「アバズレだけど、愛しているわ」。
ジューの落ち着いた愛にグザヴィエは安心する。心からニッコリする。
グザヴィエもまたいいやつです。

(「ニューヨークの巴里夫」)