キャロル20160507

 

「キャロル、その道徳的なんとかってなに?」

弁護士はキャロルの夫が「妻が女性と親密な関係にある」ことを理由に、
「道徳的条項」を考慮して、単独親権を求めたことを知らせる。
キャロルはアビーと会って嘆く。
「キャロル、その道徳的なんとかってなに? もしわたしのことなら」
いいかけたアビーに「言わないで」ピシャッと制し、
オリーブを齧り、空になったマティニーのグラスを、グイとアビーの前に押す。
アビーは気前よくシェーカーから注いでやり
「問題はあの赤毛の女よ」
「赤毛の女って気が強いのよ」
ふたりで陽気に笑う。
キャロルはアビーといるとよく笑うのです。
アビーはどんなときもキャロルをふんわりと包み、批判しない。
キャロルは芯から安心して寄りかかっています。

(「キャロル」)