週末はマンガでエンジョイ!ーRikiのおすすめコミックー
くらもちふさこ『いつもポケットにショパン』

「別冊マーガレット」1980年2月号〜1981年7月号にて連載
マーガレットコミック全4巻・集英社文庫全3巻

出来損ないだと自他共に認める人間が、実は素晴らしい才能の持ち主だった。
みにくいアヒルの子の物語は、いつも少女に夢を与える。

ひとつの場面ー
有名なピアニストである主人公の母は娘に少しもピアノを教えてくれない。どころか、髪の三つ編みすら編んでやらない。自分でやれという。上手く編めない主人公は自分を不器用だと思い込む。ある時、娘をピアニストにしたいという母親が、“包丁を持たして料理するなんてとんでもない。指を怪我でもしたらこの子の人生が台無しになる。そんな危ないことを、あなたも子供にさせていないでしょう”と迫る。その母親に、主人公の母は“あら、私の娘の作るカレーはとっても美味しいのよ”と誇らしげに言い放つ。
ーとても印象に残っている場面だ。最初にこの漫画を読んでからずいぶん経つけれど、ある場面や台詞を断片的ではあるがふ思い出す。自分の日常に重なるものがあったのだと思う。
音楽物としては二ノ宮知子の『のだめカンタービレ』があるが、この作品はもっと身近だ。
それにしても、ショパンの曲!鬱と爽が混ざり合う春の季節にふさわしい。