昨年5月に地元和歌山市で有志団体「LGBTと愉快な仲間たち」を立ち上げ、フェイスブックなどで情報を発信、当事者や支援者の勉強会や親睦会などの活動を始めた、「癒しの空間 円身堂」の安西美樹さんにお話を聞きました。

和歌山市和歌浦中で「身が円のように心が福のように」とフォーチュン・カウセリング & リラクゼーションの店を開いている安西さんは「ノンケ、アライ(支援者)と言われる一般のLGBT以外の人を巻き込んで、当事者がカミングアウトしやすい世の中になれば」と思い活動を始めました。月に1回開催する親睦会にはアライの参加者が多いのが特徴です。昨年10月には和歌山マリーナシティ県立わかやま館(和歌山市毛見)で「円身堂」の開設5周年記念イベントとして「レインボーやでぇ。おいなぁよ。」を開催。講演会やパネル展示が好評でした。「履歴書や証明書から性別欄をなくして欲しい」など和歌山県議会に陳述書を提出する準備も進めています。

 

それまで何かLGBTに関しての活動を始めるつもりはなかったという安西さんが、活動を始める切っ掛けとなったのは7年前。気軽な気持ちで参加した東京レインボープライドのパレードでした。「寝たきりで大変な病気の方が、セーラー服をきてとても楽しそうにパレードに参加していました。それに比べ自分は五体満足で自由に発言できるのに、甘んじていたと感じました」。筋萎縮性の方を見て衝撃を受けたといいます。

一方で「本音を言えば、わざわざLGBTと銘打って活動せなあかん?わざわざ騒ぎ立てて、世間に何かしてもらわなアカン?という気持ちもあります」。性同一性障害で、男性として暮らしているご自身は、幼少時から深く悩むことなく、自然に『男っぽい女の子』でいることができ、周囲にも受け入れられてきたと言います。

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「自分が障害を持っていると思ったことはありませんし、いろいろな性別の人も結局、悩みは一般の人と変わらないと思います。LGBTというカテゴリーで分けられない人も多いですし、性別に関係なく、結局はその人のもつ人間性が評価されるのではないでしょうか。それでも、同じFTMで親に相談したら『ちゃんと産んであげられなくてごめんね』と言われたという仲間もいますし、生きづらさや悩みを抱えてウツになったり、引きこもりになっている人が多いのが現状です。実際に活動を始めて、外に出たくても出られない若い当事者が予想以上に多いのではないかと感じています」。

イベントなどを通じて、彼らを外に引っ張り出したいと安西さん。人とコミュニケーションをもつことで前向きになり、社会と積極的に関わりを持つことができればと願います。夢は、よさこいのチームを作って仲間と踊ること。堅苦しくなく、明るく、楽しくー、人が大好きという“おにいちゃん”が、あくまで自然体に活動を進めています。

 

「LGBTと愉快な仲間たち」Facebook

癒しの空間 円身堂