条例か、要綱か

大きな違いは、渋谷区の同性パートナーシップ制度は「条例」であり、世田谷区の同性パートナーシップは「要綱」であることです。「条例」は法令の1つであり、議会の議決を経て決定される、みんなが守るべき“ルール”です。それに対して「要綱」は、首長(この場合は世田谷区長)の権限で策定された、不公平なく事務処理を行うための“マニュアル”的な位置づけになります。

渋谷区の条例では、賃貸住宅の入居や病院での家族の面会、生命保険など、同性カップルだからという理由で断られた場合、同性パートナーシップ制度に違反したとして事業者名を公表することが条例に盛り込まれています。世田谷区ではそのような決まりはなく、要綱の意義を「性的少数者に基礎自治体が向き合い、啓発の第一歩となることに意味がある」としています。

また、渋谷区では、申請のためには行政書士などにより作成された公正証書が必要となり、費用がかかります。一方の世田谷区ではカップルの2人が宣誓さえすれば公的書類の交付を無料で受けることができます。要綱である世田谷区のパートナーシップは、渋谷区より法的効力は薄いと言えるかもしれませんが、渋谷区でたびたび出ていた「なぜ同性カップルの証明書を手に入れるのにお金がかかるのか!」という批判はクリアしたと言えます。

こういった取り組みが広まることで、どんどん精度が高まっていくことでしょう。