快晴に恵まれた去る9月26日、大阪市都島区の毛馬桜之宮公園で、第41回都島区区民祭りが開催され、多くの区民で賑わいました。ステージイベントのオープニングを飾ったのは、麻倉ケイトさん。ひときわ目立つ「初音ミク」のコスプレで、作詞作曲を手がけた「CRAZY IN LOVE」などを熱唱しました。大人アイドル、歌手、タレント、ニューハーフカリスマ花嫁モデルと多彩な肩書を持つケイトさんにお話を聞きました。

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ケイトさんは男性の体に生まれたが、心は女性という性同一性障害でありながら、本心を偽って29年間を過ごしました。違和感を覚えたのは小学校に入学してから。自分はお母さんみたいな体になると思っていたが、いつまでたっても男性の体のまま。男女別に分けられることに抵抗を感じ、「赤いランドセルを持ちたい」「スカートが履きたい」という希望も叶わず、服装や持ち物にも我慢し続けなくてはなりませんでした。

ある時クラスで「好きな子はだれ?」と聞かれて「◯◯くん」と答えてからかわれ、自分はみんなと違うと自覚します。男性の体に閉じ込められたまま、中学校、高校と思春期も差別やいじめに苦悩し続け、自傷行為を繰り返したこともあるといいます。

 

「スーツを着て働くのだけは絶対イヤだ」と将来について悩んでいた時に、それなら音楽に打ち込んでやろうと門を叩いたのが芸能事務所レインボーミュージック。そこで社長兼音楽講師、現在もマネージャーを務める叶ともみさんと出会います。
デビューの翌年、第6回上海アジア音楽祭で優秀新人賞を受賞し、全国ネットに出演する機会も得ましたが、それからもお金も仕事もない下積み時代が続きました。初めて性同一性障害のことを打ち明けたのは、二人三脚で苦労を共にしてきた“育ての親”、叶さん。「たった一人でも理解者が出来て、強くなれた」と当時を振り返ります。07年のテレビ出演の際に、人には言えない気持ちを込めた曲を歌い上げると、多くの反響が寄せられました。それを機に偽っている自分が我慢できなくなり、09年にカミングアウトを決心したといいます。10年には去勢手術を受け、男性歌手KEITAから、女性歌手麻倉ケイトとして再出発。現在に至ります。

 

カミングアウトしてからの6年間を振り返り「心が軽くなり、大キライだった自分が、大好きになった」と微笑みます。ありのままの自分をさらけ出すことで性格が明るくなり、すべてを前向きに捉えられるようになったとも。「本心を言えば、女に生まれたかったけれど、それは来世に任せて、今、自分が女性として生き生きと活動することで、同じ悩みをもつ人たちの励みになりたい」と、精力的に活動の場を広げています。

 

麻倉ケイトさんHP