Diversity Studies

ヘイッキ・アリョキ大尉を

〜 「トム・オブ・フィンランド」10

ヘイッキ・アリョキ大尉を   トウコの受難は続く。 宿泊費の支払いを請求され、振り逃げしたトウコは 捕まって警察に勾留された。 身元引受人はベルリンにいない。 思い出したのがフィンランドで一緒に戦ったアリョキ大尉だ。 別れ際にシガレットケースをくれた軍人。 ヘイ...

風景画専門の画商だ

〜 「トム・オブ・フィンランド」9

風景画専門の画商だ   1人が興味を持った。 「田舎の風景画だ」とトウコ。 「風景画専門の画商だ」と男。 フィンランドで出版をしている、らしい。 一夜を共にした。 やっと巡り合った、と思えた男は翌朝、姿を消し、 トウコの絵をごっそりかっぱらってトンズラした。 ...

「アートを買う気は?」

〜 「トム・オブ・フィンランド」8

「アートを買う気は?」   ベルリンの夜だ。酒場に入る。 トウコがいくのは公園かバーだ。男たちが集まる場所。 同性愛が違法で、袋叩きになる時代ですから、 パートナーを探すのは至難です。 今みたいにカミングアウトもできない。 ひょっとしたら“巡り合うかもしれない”ところ...

「なぜドイツへ?」「遊びに」

〜 「トム・オブ・フィンランド」7

「なぜドイツへ?」「遊びに」   トウコはベルリン行きの列車にいる。 警察がパスポートを点検する。 国境を越えるのはまだ大変だった。 「なぜドイツへ」「遊びに」 だがトウコはトランクの底に絵を隠していた。 ムキムキの裸の男たちだ。これこそ彼が部屋にこもって 密か...

これじゃダメだ、描き直せ

〜 「トム・オブ・フィンランド」6

これじゃダメだ、描き直せ   作品をディレクターに見せるが 「これじゃダメだ、描き直せ」突き返される。 彼の頭の中にあるのはマッチョな男性像、 殺したソ連兵が脳裏に浮かんでは消える。 一般的なイラストには情熱が注げません。描き直しばかりだ。 描きたい絵を描いて、受け入...

違法行為は許さん

〜 「トム・オブ・フィンランド」5

違法行為は許さん   夜になると部屋に鍵をかけ、欲望する男のタイプを絵にする。 でもそれだけでは血が鎮まらない。 やはり公園に行く。男に声をかける。 「見たいか」と男。 「いや、見るよりしたい」 その気になった2人が木の影でもつれていると 公園警備の警官が来た。...

こいつはゲイだ!

〜 「トム・オブ・フィンランド」4

こいつはゲイだ!   トウコはバーに出かけた。 男たちに目がいく。 隅のテーブルに座っている男に目配せしてトイレに入った。 男の隣に座り、下から自作のイラストを滑りこます。 男は受け取った。 トウコは(脈あり)と見る でも男は「こいつはゲイだ」と喚き立て、 ...

誰かと一緒になったら?

〜 「トム・オブ・フィンランド」3

誰かと一緒になったら?   妹は兄が独身でいるのが気がかりだ。 「誰かと一緒になったら? 世話してくれる特別な人」 「戦争中にはいた」 「婦人部隊の人?」 「いや。航空隊のパイロットだった」 「戦争中は魔がさすこともあるわ」 妹は兄の性向を一時的なものと捉えよう...

兄さんを雇ってくれるって

〜 「トム・オブ・フィンランド」2

兄さんを雇ってくれるって   復員したトムは、妹のカイヤと暮らしています。 妹は、自分の勤める広告会社のイラストレーターの仕事を紹介する。 「ボスが兄さんを雇ってくれるって。お金が必要でしょ」 トウコはまだ戦争の後遺症がある。 広い原野にパラシュートで降りてきたソ連兵士をナ...

君には何か夢があるか

〜 「トム・オブ・フィンランド」1

君には何か夢があるか   ゲイカルチャーを牽引した伝説のイラストレーター、 トム・オブ・フィンランドの伝記映画です。 時代は第二次世界大戦の終戦間近、 トウコ・ラークソネン(のちのトム・オブ・フィンランド)に 上官のヘイッキ大尉が「君には何か夢があるか」と訊く。 「特...