Diversity Studies

ジーンからメールが

〜「ミモザの島に消えた母」(31)〜

  ジーンからメールが   兄妹二人は悄然として言葉も少ない。 そこへ「ジーンからメールが」とアントワーヌ。 パソコンを見つめる二人の前に画像が流れてきた。 30年前、ジーンがノワールムティエ島を訪ね、 クラリスと再会した日の撮影だ。 子供の手を引いて砂浜...

パパの妻で私たちのママだった

〜「ミモザの島に消えた母」(30)〜

  パパの妻で私たちのママだった   父「母を問い詰めたが、何も知らない、の一点張り。 そこへ警察から電話が」 「パパの妻で私たちのママだった」 「30年間、私も重荷を背負ってきたのだ」 娘は自分を抱こうとする父親を突き飛ばす。 祖母の立場になれば ...

よくも母を死なせた女性を

〜「ミモザの島に消えた母」(29)〜

  よくも母を死なせた女性を   「よくも母を死なせた女性を、祖母と呼ばせてきたわね。 本当は何があったの。話して」 父親は辛そうに言った。 「パリにいた時、クラリスが姿を消したと母から電話があった。 いつもの嫁姑のケンカだと思った。ふたりは一触即発だった。 ...

知っていたのね、答えて!

〜「ミモザの島に消えた母」(28)〜

  知っていたのね、答えて!   「これを持ってきた。見てくれ」 ベルナデットの夫は古い新聞を見せた。 「満潮のゴア通路で事故。女性が溺死」 海中に沈んだ車体が斜めになって浮いている。 「知っていたのね。答えて!」 アガットは父に詰め寄った。 &nb...

満潮です、渡れません!

〜「ミモザの島に消えた母」(27)〜

  満潮です、渡れません!   ベルナデットがホテルから戻ると、追いかけてきたクラリスが 電話ボックスにいた。ホテルに電話している。 「もうチェックアウトを?」 ボックスを出てベルナデットに気づき「あの手紙を届けたの?」 「すみません」クラリスはベルナデットを引...

一族の恥だわ!

〜「ミモザの島に消えた母」(26)〜

  一族の恥だわ!   ベルナデット「窓の下を通るとお祖母さまの声が聞こえた。 相手は若奥さまだった。 『一族の恥だわ。この写真を見たら判事は親権剥奪を命じるわね』 『子供たちはどこ?』 『座って手紙を書いて。座るのよ! 書きなさい。 ジーンへ。どうか怒ら...

妻から大事な話がある

〜「ミモザの島に消えた母」(25)〜

  妻から大事な話がある   祖母が亡くなった。 葬儀にも呼んでもらえなかったアントワーヌはあえて参列した。 祖母がいちばん気にいっていたドレスを着せるためだ。 葬儀を終えたアントワーヌとアガット兄妹を ベルナデット夫婦が呼び止めた。 「妻から大事な話があ...

30年間ウソをついてたのは誰だ!

〜「ミモザの島に消えた母」(24)〜

  30年間ウソをついてたのは誰だ!   クリスマス、家族が集まった席で、 「僕からのプレゼント」と言ってアントワーヌが配ったのは ジーンとクラリスが仲良く写っている写真だ。 「ジーンがくれた写真だ。ジーンは女性だった。 答えてよ、おばあちゃん。1984年8月2...

お祖母さまはご健在?

〜「ミモザの島に消えた母」(23)〜

  お祖母さまはご健在?   ジーンは語る。 「この30年、タクシーが画廊の前に止まるたび、彼女の姿を探した。 今となっては希望も消えたけれど」 アントワーヌ「母は別れを苦に自殺を?」 ジーン「クラリスは子ども達を愛していた。自殺なんてしない」 そしてふと...