Diversity Studies

お嬢さまは最近きた

〜「燃ゆる女の肖像」(4)〜

  お嬢さまは最近きた   描く相手はどんな女性なのか。マリアンヌは探りを入れる。 メイドのソフィは「よく知らない」でも「お嬢さまは最近きた」 「以前は?」「修道院よ」 「なぜここに?」「お姉さまが死に、結婚話がくり上がったの」 「病死なの?」「ちがう」 ...

「居心地は?」「いいわ」

〜「燃ゆる女の肖像」(3)〜

  「居心地は?」「いいわ」   少女のようなメイドが古めかしい、重い木の扉を開けた。 手燭の明かりをかざし部屋に案内する。 だだっ広いガランとした室内に暖炉が燃えている。 季節は12月。火を起こしておいてくれる親切はある。 メイドは3年前からいる。素朴な地元の...

ジーンからメールが

〜「ミモザの島に消えた母」(31)〜

  ジーンからメールが   兄妹二人は悄然として言葉も少ない。 そこへ「ジーンからメールが」とアントワーヌ。 パソコンを見つめる二人の前に画像が流れてきた。 30年前、ジーンがノワールムティエ島を訪ね、 クラリスと再会した日の撮影だ。 子供の手を引いて砂浜...

パパの妻で私たちのママだった

〜「ミモザの島に消えた母」(30)〜

  パパの妻で私たちのママだった   父「母を問い詰めたが、何も知らない、の一点張り。 そこへ警察から電話が」 「パパの妻で私たちのママだった」 「30年間、私も重荷を背負ってきたのだ」 娘は自分を抱こうとする父親を突き飛ばす。 祖母の立場になれば ...

よくも母を死なせた女性を

〜「ミモザの島に消えた母」(29)〜

  よくも母を死なせた女性を   「よくも母を死なせた女性を、祖母と呼ばせてきたわね。 本当は何があったの。話して」 父親は辛そうに言った。 「パリにいた時、クラリスが姿を消したと母から電話があった。 いつもの嫁姑のケンカだと思った。ふたりは一触即発だった。 ...

知っていたのね、答えて!

〜「ミモザの島に消えた母」(28)〜

  知っていたのね、答えて!   「これを持ってきた。見てくれ」 ベルナデットの夫は古い新聞を見せた。 「満潮のゴア通路で事故。女性が溺死」 海中に沈んだ車体が斜めになって浮いている。 「知っていたのね。答えて!」 アガットは父に詰め寄った。 &nb...

満潮です、渡れません!

〜「ミモザの島に消えた母」(27)〜

  満潮です、渡れません!   ベルナデットがホテルから戻ると、追いかけてきたクラリスが 電話ボックスにいた。ホテルに電話している。 「もうチェックアウトを?」 ボックスを出てベルナデットに気づき「あの手紙を届けたの?」 「すみません」クラリスはベルナデットを引...

一族の恥だわ!

〜「ミモザの島に消えた母」(26)〜

  一族の恥だわ!   ベルナデット「窓の下を通るとお祖母さまの声が聞こえた。 相手は若奥さまだった。 『一族の恥だわ。この写真を見たら判事は親権剥奪を命じるわね』 『子供たちはどこ?』 『座って手紙を書いて。座るのよ! 書きなさい。 ジーンへ。どうか怒ら...