午後4時

午後4時

 

鳩時計が4時を告げます。

この映画は午後1時にルイがやってきて、4時に去るまで3時間の話です。

久しぶりに会う息子のために、精一杯おしゃれして待つ母親と妹。

初対面の緊張と期待でなかなかリラックスできない兄嫁。

防御そして攻撃本能ではちきれそうな兄。

それぞれが抱く異なる心理状況に舞い降りた異分子の弟。

事実はたったひとつ、誰も本当のことを言わない。

本当のことなんか、言ったからって事態が好転するとは限らない、

言わない方が幸せなことだってある、それはアタリだ。

あるいは家族なのだからドロドロの喧嘩くらい、するじゃん、

それもアタリだ。鳩時計の「4時」は、あたかも

行方の分からない時の流れを

ここで一区切りとします、人生には踊り場も、小休止も必要です、

と語りかける暗喩のようです。

 

(「たかが世界の終わり」 )

 

bn_charm