一緒にいても遠いんだ

一緒にいても遠いんだ

 

「ルイは俺たちを必要としない。一緒にいても遠いんだ。不幸な奴だ」

兄貴はルイのいる場所が「ちっぽけな世界」で、そこにいて自分を

特別視していると思う。

自分を特別視したいのはルイだけに限らない、人は誰でも

自分は他人よりちょっと違う、違うところがあると思うことで

アイデンティティを保ちます。無意識に差異化しています。

それが自信にもつながればコンプレックスである場合もある。

でもここで兄貴のいう「一緒にいても遠い」はさびしい。

兄貴もまた、腹を打ち割って話せない弟を、心のどこかで

やるせなく感じている。兄も寂しがり屋です。

妹も突っ張っている分、誰かにいたわってほしい。

憧れのルイ兄さんがそれをやってくれたらいいのだけど…

この3兄妹はみな自分の寂しさを隠してばかりいます。

 

(「たかが世界の終わり」 )

 

bn_charm