もう戻らない気ね

もう戻らない気ね

 

母親は息子のとらえどころのない冷たさに、何か理由があると気づきます。

それは家族に対する憎しみからでもない、嫌がらせからでもない、

理由は教えてくれないけど、ただもう戻らない気なのだと。

ルイは自分の死など家族にとっては「たかが世界の終わり」だと思う。

疎外感もここまでくると強烈ですね。

もちょっと何とかならんか、と思うのは凡人で、

詩的世界に踏みとどまるルイにとっては

自分自身を凡俗に堕したくないのでしょうか。

そう思って初めてルイの強靭な精神力に触れる気がする。

彼は幸福と団欒に背を向けた詩的アウトサイダーです。

 

(「たかが世界の終わり」 )

 

bn_charm