夜のイヴは恐ろしい
ピエールは公私にわたってサンローランの人とブランドを
支えてきたパートナーです。ある夜異様な気配に目がさめると、イヴが見つめ手に鈍器のようなものを持っている。
「別々に暮らすよ。夜のイヴは恐ろしい。僕を殺そうとした。
18年、愛してきた彼が心の平衡を失っていく。見たくない。
見捨てはしないが、あんな思いはイヤだ。彼の繊細さが彼の心を壊していく」
イヴは入院し治療を受けます。モデルや工房のスタッフが見舞いに来る。
イヴは仕事が嫌いで、あるいは逃避しようとしたわけでもなく、
正気を失ったわけでもなく、アヴァンギャルドなものをクリエイトしようと
してもがいていた。自分の目的とするものが明確だった。今はしんどいが、
必ず手が届く、そんな自信はどこかにあったと思うのです。
そして1976年秋冬コレクションを迎えます。