私を好きになったせいね
ビリティスはルカに愛人候補の写真を撮らせ、20枚の写真をメリッサに
見せる。メリッサは番号のついた写真を「1」「2」「3」、
一枚一枚脇に退けていきます。
「全員ダメなの?」ビリティスが心配げに訊く。
「19」で手が止まった。ニキアスだ。
「その人はダメよ。一人がいいのだって。残念ね」
メリッサはビリティスが不憫になる。
「私を好きになったせいね」
ビリティスはメリッサにもたれてつぶやく。「仕方ないよ」
この映画の全篇に蒼い諦観が立ち込めています。
不実な夫との生活を受け入れるメリッサ。メリッサを愛し、
どうにもならない愛の行方を、流れに任せるビリティス。