「こんな感じ?」「ええ」

「こんな感じ?」「ええ」

 

舌を入れた後はどうするのかと、ビリティスがしつこく訊く。

「今にわかるわ」とメリッサは言うが引き下がらない。

「こんな感じ?」「ええ」

「今夜もやるの?」「そうよ」

夫婦だから当然の行為なのですが、ビリティスはなぜ大嫌いなピエールを

メリッサが受け入れるのか怒りを感じる。虐待にしか思えない。

14、15歳って、なんでも白黒に分けないと気がすみませんからね。

続く数分間のラブシーンは、デイヴィッド・ハミルトンの真骨頂です。

穏やかな抱擁、指と指の絡み合い、肌と肌の冷たさ。

ビリティスがまるで年上みたいにメリッサを抱き、メリッサがそれに充足する。

ビリティスは幼くこそあれ、思いに満ちたいたわりとやさしさは、

デリカシーのないピエールとは雲泥の差でした。

セックスもまたコミュニケーションですね。

(「ビリティス」 )

 

bn_charm