今夜俺と泊まってくれ
スカバーはイギリスを離れて南米に行くのです。
二度と会えない。だから英国を離れる前に会ってくれと頼んでいます。
モーリスには彼の必死な気持ちがまだわからない。
貧しいから金をせびる気だとくらいに思っています。
「俺は指一本傷つけない。ビタ一文、もらうつもりはない」
ただ「今夜俺と泊まってくれ」
モーリスは逃げ腰です。
「仕事だ」「仕事がなんだ」
スカバーから見たモーリスは鼻もちならぬ青年のはずでした。
モーリスが代表する中産階級そのものが。
でもスカバーの赤裸々な告白が、ついに垣根を取り払う…。