「君が好きだ」「バカ言うな」

「君が好きだ」「バカ言うな」

 

モーリスがやさしくクライヴの髪を撫でる。

どっちもネクタイを締め、白いワイシャツを着て…とってもきちんとしていて、

スッポンポンのベッドシーンとえらいちがい。

ある日とうとうクライヴは告白します。

「君が好きだ」「バカ言うな」とモーリス。

ね、クライヴが働きかけ、モーリスが拒絶した、この順番を覚えておこう。

「僕が貸した本は読んだか。読んだのならわかったろ」

「何を?」熱のないモーリスの返りにクライムはがっくり。走り去る。

晩餐、この晩餐がまたすごい、全員黒のガウンで正装、教授たちの着席まで

起立して迎え、テーブルにはろうそくの灯る燭台、真っ白いナプキンが

折り目をピンとして立ち、左右にナイフとフォーク。

たかが晩飯になんたる物々しさ、と考えてはいかんのでしょうね。

 

(「モーリス」 )

 

bn_charm